
2026/3/11

用賀を代表する工務店「東京組」に長年務める篠原かおり(しのはらかおり)さんにお話を伺いました。5世代にわたる大岡山ネイティブとしてのルーツ、超インドア派だった学生時代から一転、就職氷河期を経て建築業界へ飛び込んだ経緯、そして「用賀サマーフェスティバル」との意外な接点まで。さらには、用賀の「八角堂」を用いた新たなコミュニティ拠点構想など、笑いの絶えない収録の様子を、ほぼノーカットの全文記事でお届けします。(インタビュアー:武井浩三、編集:AI(notebookLM)、撮影:新井佑)ーー:はい。ということで、えー、用賀スピリッツ、今回第5回。用賀サマーフェスティバルでも大変お世話になっていて、それから、えー、ブルーハンズ(ゴミ拾い)の活動も、長らくご支援していただいている、東京組の広報、今は…
篠原:えっと、総務から広報の仕事の時期が長かったんですけど、この5年ぐらいはエステート部にいるんですよ。
ーー:おー。なんか、じゃあ実務の方に結構行ってるんですね。
篠原:実務ですし、今まで管理部門の人だったじゃないですか。割と社内とのやり取りが多かったのが、初めてカスタマーとの接点を持つ部署に来たってとこですかね。
ーー:はいはい。その、えー、篠原かおりさんにお話をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
篠原:はい、よろしくお願いします。
ーー:えー、篠原さん、本名は「松本さん」でいらっしゃる?
篠原:そうですね、はい。
ーー:ビジネスの時は篠原でやってる。
篠原:そうです、はい。
ーー:そうかそうか。
篠原:入社からほどなく同期と社内結婚いたしまして。
ーー:そうなんだ!
篠原:うちの会社、社内結婚が多かったので、そうすると同じ苗字が増えてっちゃうので、みんな割とそう…
ーー:確かに。
篠原:みんな割と旧姓をそのまま使うっていうのが多くて。
ーー:なるほど。家作りが家庭作りになっちゃう。
篠原:まあ、そういうことですね、うまいこと言う(笑)。
ーー:見出しでもタイトル決まったね、これ(笑)。そうそう。そうかそうか。
ーー:じゃあまず、ちょっと時系列的に、えー、生まれ育ち、幼少期のことをお伺いしてもいいですか?
篠原:はい。なんかもう本当に語るほどの幼少期…じゃなくてですね(笑)。なんでしょうね、生まれは、えー、大岡山。東京です、はい。
ーー:大岡山で、ずっと?
篠原:そうなんです。で、ずっともう大岡山にいて。本当に生まれた時から今まで1回も大岡山から抜けていないという。
ーー:おお、すごい。ネイティブだ。
篠原:ネイティブ。ま、結婚のタイミングでちょっと賃貸に住んだんですけど、そこから5年ぐらいした時に実家が建替えになって、その時に2世帯住宅になって、今はもう姉家族も含めて3世帯で住んでるんですけど。
ーー:おお、すごい。へえー。
篠原:という建替えをして、そこから今に至ります。要はずっと40何年大岡山在住。
ーー:すごい。え、もちろん建てたのは東京組ですよね?
篠原:そうです、もちろんです。
ーー:ですよね。
篠原:はい。うちの社員で家建ててる者は、いたし方なく建売住宅を買ったとかいう場合以外は、割とみんなやっぱり東京組で建ててます。
ーー:ま、そりゃそうですよね。そっか。
ーー(新井):家の真ん中に庭があって、そこの真ん中から木が生えてる。
ーー(武井):ああ、こういう系の、よくある…すげえ。あのCMとかに出てくるやつだ。
篠原:CMのやつ。そう、もうCMになりそうでしょ(笑)。
ーー:へえー、そっかそっか、かっこいい。大岡山って、えっと、何区ですか?あれって。
篠原:あ、えっとですね、大岡山っていう地名がつくのは目黒。でも大岡山駅があるのは大田区北千束なんですよ。
ーー:うん。あ、北千束なんだ。
篠原:そうなんです。ということでうちも、分かりやすいから大岡山って言ってるんですけど、アドレス的には大田区北千束です。駅も北千束と大岡山の間ぐらいって感じですね。
ーー:はい。あれって何線でしたっけ?東急…。
篠原:あれは東急大井町線と目黒線です。
ーー:あ、両方あるんだ。ああ、じゃあアクセスいいですね。
篠原:めちゃくちゃいいですね。先祖に感謝ですね。あ、そうそう、ま、幼少期の話ってあんま語るほどの話がないんですけど、うちのその土地の話で言うと、曾祖父が、えー、元々地主さんから、あの辺りとても地盤がいい土地だっていうことで選んで、借地で住み始めて。
ーー:うん。
篠原:祖父の代にそれを買い取ったと。底地も。
ーー:へえ。
篠原:ということで、もうずっと4代…そう、曾祖父、祖父、父、私たち、であと私たちの子供が住んでるから、もう5代目ですね。かれこれずっと住んでます。
ーー:その、ひいおじいさんは元々どちらから?
篠原:長野出身で。
ーー:松本だからってことなんですかね?あ、関係ないか。
篠原:松本はね、うちの今の夫の姓なので(笑)。
ーー:そっかそっか(笑)。
篠原:そうそうそう。えっと、そう、篠原はね、長野なんですよ。で、そこから出てきて。でも元々その曾祖父は長野県人で、ただ京都の大学に行っていた時に出会った京都の方と結婚して、だから曾祖母は京都の人らしく。で、今の私の夫も京都の人間なので、なんかそういう縁てあるもんですねぇ(笑)。ええ、そんな感じです。
ーー:なるほど。いいですね。じゃあ、あの辺りで生まれ育って…
篠原:そうですね。小学校は地元の赤松小というところに行っていて。で、中学高校はもう私立に行ってしまったんですけど。

ーー:小中とかはどんな部活とか遊びとかされてました?
篠原:これは、でも本当に語れないくらいのあの…帰宅部で(笑)。
ーー:語れないぐらいの(笑)。ド陰キャとかゲームやってるような?
篠原:ゲームか、本読むか、カメラいじるかっていう。もうすごい、もうゴリゴリのインドア派。ゴリゴリのインドアエリート。
ーー:インドアエリート(笑)。ゲームは、当時どんなゲームをやられてました?
篠原:全部のジャンルを、あらゆるジャンルをやり尽くしてました。
ーー:ええ!?当時はスーパーファミコンですよね?多分世代的に。
篠原:スーパーファミコンからプレステの時代で。だからちょうど3次元に行くタイミングで、もうちょっと見切りをつけたというか。
ーー:ああ、分かる!
篠原:私の中のゲームではなくなってしまった。
ーー:なんか分かる、難しくなった、急に操作が。
篠原:そうそう、ちょっとそうじゃないのよね、みたいな。それが大学受験と同じぐらいのタイミングで来て、もうそこからは全然ゲームやってないです。
ーー:ええー。当時1番ハマったゲームって何でしたか?
篠原:いや、なんだかんだ言って、やっぱRPGですかね。ドラクエ4から始まり、あとファイナルファンタジーですかね。
ーー:なるほど、ファンタジー系ですね。
篠原:自分でなんか色々、なんかちょっと創作しちゃうくらいハマってたかな。
ーー:え、何を創作するんですか?できるんですか?フィギュアってことですか?
篠原:あ、なんかね、その、絵を描いたりとか、その程度ですよ。
ーー:ああ。じゃあオタク的な?
篠原:完全にオタクキャラです。あとなんか「テーブルトークRPG(TRPG)」っていうのがジャンルとしてあって。
ーー:テーブルトーク?
篠原:そう。ま、それはちょっと調べていただきたいんですけど、結構奥深い世界で。自分で全部、キャラの設定とかをして、元々持ってるポイントの配分があって、それをキャラにどういう風に肉付けしていくのか、みたいな。
ーー:へえ。初めて聞いた。
篠原:で、それで自分でキャラクターを作って、キャラクター作った者同士で、ゲームマスターがいて、その人が「こういうストーリーで」っていうので、「じゃあここでこの自分のキャラクターがこれをやります」みたいなのをトークで進めていくっていうのがTRPG。っていうジャンルがあるんです。
ーー:カードゲームではなく?
篠原:じゃないんです。本当になんかもうすごい情報量の本を読み込んで、それを自分でこうキャラ設定全部作って、トークだけでゲームを進めていくっていう。
ーー:へえー。
篠原:でもそれが頭おかしいなと思うのは、そこまでキャラ作り込んでんのに、1回もそれやったことないですよね(笑)。キャラだけめちゃくちゃ作り込んでて。
ーー:いや、でも面白いですよね、そういう世界観の作り込み。それと今の仕事って、やっぱりなんか繋がってたりします?家のコンセプトとかで。
篠原:全然繋がんない!全然繋がんないです(爆笑)。残念ですけど(笑)。
ーー:いや、でもなんか日本人ってそういうオタク文化ってどんな領域にも結構ありますよね。職人気質と繋がってるというか。
篠原:うん、いや、もうなんかそう思いますね。あの熱量を今じゃあれに向けられないし、なんか小学生ぐらいの、中学受験でみんな必死だった頃に、多分ちょっと勉強嫌すぎてそっちに逃げてて、すごい熱量でやってたっていう。
ーー:なんか僕も音楽やってたんで、音楽やってる仲間って基本オタクなんですよね。だから結構アニメ好きな人とかパソコンオタクもいたりとか。何に関しても結構そうなっちゃう。
篠原:わかります。面白い。
ーー:じゃあ、結構漫画とかも読まれてました?
篠原:漫画もまあまあ、そうですね。少年ジャンプとか好きで。
ーー:ああ、まあ世代ですよね。
篠原:少女漫画じゃなくて少年誌が好きで。幽白女子(幽遊白書)だったので。
ーー:いたいた、小学校の頃いた!幽白女子!!大体みんなね、あの、蔵馬が好きなんですよね。
篠原:そうなんです、蔵馬と飛影なんですよ。
ーー:そうそうそうそう(笑)。
篠原:そう、本当何の話だって感じですけど、そんな感じです。

ーー:で、高校はどんな?
篠原:高校は、だから本当にそんなことの記憶しかなくて、あんまりもうそれ以降の記憶というと、ま、もちろんちょこちょこありますけど。部活とかやってないので、少し文化祭でこれあったなとか、そういうのはありますけど。
ーー:中高一貫?
篠原:あ、そうです。大妻中学高等学校なんですけど。
ーー:はいはい、学校の場所はどちらに?
篠原:半蔵門で。あの、大妻コタカという創立者で、大妻先生をみんな崇拝してるんですね、学校は。その大妻先生の業績・功績を勉強する時間があって。で、校訓が「恥を知れ」って。
ーー:ええ!結構なんか強いな。
篠原:強いですよ。この校章にも「恥を知れ」って書いてあるていう面白い学校でしたね。
ーー:えー!?校章に恥を知れって書いてあるってすごいな。でもなんか昔の日本人の精神性を表してるような。
篠原:まあまあそんな感じです。
ーー:なんか自虐的というよりは、こうなんか「足るを知る」的な感じですかね。
篠原:素晴らしい!そうそう、そういうことを教えられた気がします。「恥を知れ」っていうのは、みんながインパクトを受ける「その感じ」じゃないんですよ、みたいな。
ーー:うん、いやでもなんか僕、歴史とか昔の日本人の精神性とかめっちゃ好きなんで。侍的な感じってことですよね。
篠原:そうそうそっち、そういうことです。
ーー:今も女子校?
篠原:女子校です。もう絶対女子校だと思います(笑)。良妻賢母を、こう掲げて標榜しているんですよ。なんですけど、最近は「良妻賢母 兼 働く女」みたいになってるらしくて。求めすぎ(笑)。
ーー:すごいなー。なんか最近は結構、共学化していく学校が男子校も女子校も増えてるじゃないですか。でもその中で女子校をキープするって、余程の精神性があるんでしょうね。
篠原:まあ、あの学校に関しては、女子校であることにすごいアイデンティティがある気がするので、そこを失っちゃうと多分存在矛盾みたいなものがあるんじゃないですかね。
ーー:なるほどね。なんかリベラルって言うとこう、みんな平等な教育であれとか、女性とはこうとか男性とはこうっていうこと自体が、すごく触れにくかったりもしますけど、でもね、言っても性別がありますからね。
篠原:そうですね。そうって思うし、あとまあ今になって振り返ると、あの女子校の間の6年間はそういう、逆に性別をあんまり意識しなくていい時間だったわけですよ。
ーー:なるほどなるほど。
篠原:そう、それがすごく自由で。という意味であの頃は「なんで女子だけ集めんだよ」って思ってたけど、今になって親の立場になって考えると、そういう煩わしいことに惑わされないで自分の好きなことだけやれるよ、みたいなのってすごい貴重な時間なんだろうなという気はします。
ーー:なるほどー。思春期だとついつい異性を意識して、俺なんかも、いかにカッコつけるかっていうのにすごい時間と労力を割いてた気も…。
篠原:ですよね。それも大事なんですけど。
ーー:合う合わないもありますしね。
篠原:そうそう。だからいた頃は『耳をすませば』的な恋愛とかしたい人生だったってすごい思いましたもんね。あの時代じゃなきゃできない恋愛じゃないですか?
ーー:『耳をすませば』ね、確かに世代ですよね(笑)。スマホとかまだなくて、なんか家電(いえでん)かける、みたいな。
篠原:そうそうそう。という風にあの頃は思っていたんだけども、ま、女子校の良さってのは、先ほど言ったようなところにあるのかなとは思いますね。
ーー:なるほど。え、この辺のエピソード大丈夫ですか(笑)?
篠原:全然いいです。こういうのはもう、いくらでも語ります(笑)。
ーー:で、結構女子だと外で恋愛する人とかもいた?
篠原:あ、いましたね。他の男子校の文化祭とかにもあえて制服で行って。やっぱりこの、そういう自分のステータスを表すものとして制服で行って、ちゃんと声をかけられてくると。
ーー:はい、ああなるほど。いいっすね。
篠原:そうなんですよ。というのをやりたい人はやる。ま、そういうのに興味ない人はオタク化するみたいな(笑)。あとは部活に打ち込む人もいて、それが自由ですね。全部別にやりたい方向に行けるんじゃないのかと。

ーー:素敵。そっかそっか。大学時代はどんな生活を?
篠原:大学時代は私、ジャズ研究会に入ってて。
ーー:お、なんかまたオタクっぽい雰囲気が(笑)。
篠原:そうそうそう。とりあえず自分が分からないことは何でもちょっと体験してみたい派なので。ジャズとかってなんかカッコいいけどよくわかんないから、ちょっととりあえず入ってみようというだけの気持ちで入って。
ーー:ジャズ研は聴くんですか?それとも弾くんですか?
篠原:いやあの、弾くんですよ、演奏なんですよ。それもちょっと「そうなのか」と思いながら、なんとなーくドラムをやり始めたと。
ーー:え。大学からドラムを。
篠原:あ、そうです。ずっとピアノをやってたんですけど、ま、それも別にそんなに上手いとかでもなく、だから別にピアノやりたいとかもなくて。ま、ドラム1番いいんじゃない?簡単にスティック買えば始められるしみたいな。まあじゃあ、っていう感じで始めて。
ーー(武井):えー。知ってた?ドラムやってたの?
ーー(新井):うん、知ってる。
篠原:あ、これはですね、そう、あの、ま、絶対出てくる話なんですけど、この流れでは。そのジャズ研の後輩が山下竜一君って言うんですけど。
ーー:はいはい。
篠原:それが、あの最初のYSF(用賀サマーフェスティバル)のあれですよね。
ーー(新井):そう、1回目の。
篠原:この前ね、新井さんがSNSに載せてた1回目のパンフレットかなんかに、ちゃんと山下竜一の名前を見つけて、わー!って。
ーー:へえー!
篠原:竜ちゃんだ!って。
ーー(新井):だから間にね、共通の友達が。山下は後輩ですよね?
篠原:そう。で、ジャズ研の後輩で、えっと彼はジャズ研の部長になったのかな。
ーー(武井):被ってたんですか?
篠原:1個下です。竜ちゃんは同じバンドも結構組んだこともあって。
ーー(新井):用賀小、用賀中の同級生で。かつ音楽やってたから、用賀サマーフェスティバルの立ち上げメンバーなんだよね。
ーー(武井):えー。そんな用賀の人なんだ!
篠原:いや、そう。そうなんです。で、でもそこからの紹介とかじゃなくって、私が(東京組に)入社した次の年ぐらいかな、新井さんがまだ大学生だった頃にスポンサー集めで、「たのもう~!」って「ドンドン(ドアノック)」みたいな感じで来て。私が、まだ当時総務だったからそれを対応して話を聞いてたら「竜ちゃんの同級生だ!」みたいな話になったと。
ーー:えーー、ああ。そんなご縁があるのね!すげえ!
篠原:そうなんです。たまたま。でも新井さんと竜ちゃんと一緒に飲んだとかいうことがないから、いつかやろうね、って。
ーー(新井):昔渋谷で会ったぐらいですよね。額賀とかと(笑)。
篠原:というので、やっぱ、竜ちゃんがいなかったらこんなに長く…。でもだからと言って、別に竜ちゃんが何かしてるわけでは全然ないんですけど、ま、ただ入り口としてやっぱりそういうのがあると「じゃあじゃあ」みたいな話になるじゃないですか。
ーー:うんうん、そっか。いや、すごいわ。知らなかった、この絡み合いが。
篠原:奇跡の連続ですよね。そう。ということで、えっと、そう、ま、ジャズ研はそんな感じで。別にだからそんなに私上手いわけでもないし、まあ、ただその演奏することで色々分かることはあったりしたっていうのと、あとこの人脈ができたっていうのは、今でも会う友達は結構ジャズ研の友達だったりします。それは楽しかったですね。
ーー:そっか。ちなみに大学はどちらの?
篠原:上智大学で。
ーー:あ。はいはいはい。四谷キャンパス。
篠原:はい。まあ、だから、ジャズ研究会があって、あと学科の勉強もしてたんですけど。さっき言ったようにそんな、ものすごいこだわりがあって国文学科にしたわけではなかったので、全然真面目な生徒でもなく、大体大学の生活は、教授と毎週のように飲みに行くっていう記憶に(笑)。で、未だに大学の教授とは飲みに行っていて。
ーー:ええ、すご。上智ってそんなに規模が大きくないから、結構中の人がすごい繋がってる印象が。
篠原:あ、そうかもしれないですね。ま、キャンパスもちっちゃいですしね。だいぶ変わりましたけど。

ーー:でもそこからなぜこう建築に?
篠原:うーん。ま、あんまり。。就職氷河期だったので、どこでも入れてくれればよかったんですけど、もう最後の方は、ま、ここはちょっと表現あれなんですけど(偏見は無い)、本当に外食産業かパチンコ屋かしかエントリーできないぐらいの感じで。
ーー:あ、そんなに厳しかったんだ、当時。
篠原:本当に。でも、ま、それでも働かせてもらえたら「やるっす!」って思ってたんですけど。とはいえやっぱり本当は物づくりとか、そういうのがいいなって思ってたのはずっとあったので。
ーー:うんうんうん。
篠原:ま、そこの就職活動の中で、うちの会社の創業者が中野渡(なかのわたり)って言うんですけど、新井さんも直接色々お話聞いていると思うんですけど、が、青森県十和田市出身なんですね。で、中野渡がミサワホームで20年ちょっとかな、で47歳の時に独立して始めたのがうちの会社で。ま、とにかくね、こう面白いキャラクターのおじちゃんなんですよね。
ーー:47の時に独立して東京組作ったんですか?
篠原:そう。そこから30年。
ーー:当時から用賀にずっと?
篠原:えー、これはですね。最初立ち上げたのは学大(学芸大学駅)の辺りで、たまたま。でその後、工務店って継続して受注ができることが大事なので、不動産業者さんが建売事業やる時の請負工事をもらえるのってのが一番、安定してますよね。
ーー:うんうん。
篠原:で、最初に安定的な発注をしてくれた会社さんが用賀にいらっしゃった。なのでその近くにやっぱ事務所設けなきゃいけない、すぐ飛んでいける距離に、っていうことで用賀に来たと。そこからはずっと用賀。
ーー:そうなんだ。用賀の…(今の)前はあれですよね、あのショートケーキ(のような三角のビル。マクドナルドの斜向かいにある)。ショートケーキの前もなかったでしたっけ?
篠原:ショートケーキの前は、今その手前にうちで手掛けた分譲地があるんですよ。その向かい側にテラコッタタイル(素焼きタイル)を張ってるビルがあって。あそこの建替え前が旧本社って言われてたんですね。ていうことで用賀の中で転々と、うん、してます。
ーー:へー。今、東京組さんって何名ぐらいいらっしゃるんでしたっけ?
篠原:今、単体だと80名弱じゃないですかね。あとはその「日本の窓」という、うちの木製サッシ作ってる十和田市の工場があって。そこに20何名か、そのぐらいですかね。
ーー:へー、十和田に。入社当初は何名ぐらいでしたか?
篠原:入社当初はまだ40人ぐらいだったんじゃないのかな?多分。ま、でも本当にその頃は「画期的に新しいことをやってる」というか。まずその「建築家と建てる家」みたいなのは、今だと割とよく聞くんですけど、そういうことを言ってるとこが当時はなくて、それを言い始めたのがうちの会社で。
ーー:はいはい。
篠原:あとは建材とかを輸入したり開発したりしてるっていうところで、なんかこう、すごいコスト安く、めちゃくちゃおしゃれな家が建てられるというので、爆発的な右肩上がりの時代だったんですよね。
ーー:あの木製サッシとか、結構特徴的じゃないですか?あれはいつ頃から?
篠原:木サッシを取り扱ってるということ自体は、本当に多分創業の頃からやっていて。ただその頃は、木製サッシってヨーロッパだと標準的なものなんですね、なのでヨーロッパから輸入してくるとか、そういったことで対応してたんですけど、それを内製化というか自分たちで作り始めたのは…何年前なのかな。ま、でも15年前にはやってたかな。新潟県の村上市の会社に声をかけて、東京組モデルを作り始めたのが最初。で、そこから、ま、色々紆余曲折あって、青森で自社の工場を作るに至った。
ーー:すごいなー。建築の木材も、国産で?ケースバイケース?
篠原:建築の木材とかは、外国産だったりするんですけど、木製サッシについては、国産の杉で。

ーー:そっかそっか。仕事はどうですか?面白いですか?
篠原:面白い…ですね。うん。面白くなかったらやってられないですけど(笑)。
ーー:どこに面白みを感じます?
篠原:うーん、なんか振れ幅の広さとか。ま、だからこの、上下もすごいし、この、左右もすごいみたいな。すごいざっくりした言い方するなら。不動産で言うと金融的な話も関わってくるし、あとは出口のことを考えるとやっぱり建築のことも分からないとできないところもあるし。そういった意味で、いろんな分野のことをやっぱり分かっていなきゃいけない。
ーー:うんうん。
篠原:あと建築のデザインのこととかも興味持ってないと、お客様と話せない部分があるし。という色んな興味という意味での、左右というか。
ーー:幅広いですね。確かに。結構あれですか?プランニングの時とかって、お客さんがどんな趣味で、どんな家具を置くかとかも。
篠原:それは、私はエステート部なのでお客さんが付いて注文住宅を売るっていうのはやらないんですけど、えー建築の営業の者は、そういうのものすごく気にして、やらないといけないとこですよね。
ーー:そうですよねー。
篠原:そこに比べると私たちは、自社でどんなものを発信していきたいのかを、気にして形にしていくという部署ですね。
ーー:そっか…。この東京組の仕事の間で、なんか大変だったことあります?「やばかった」みたいな。
篠原:いっぱいあります(笑)。
ーー:いっぱいあるの(笑)?
篠原:めちゃくちゃあります。けど、あの、なんて言うんですかね、やっぱり自分が仕事をしてなかったら知らなかったようなことに、毎日こう出会い続けてる感じなので、そういう意味で知的好奇心をずっと満たせるみたいな。
ーー:はいはいはい。
篠原:ま、さっき「左右もすごいし上下もすごい」って言ったのが、すごい高額の物件ってなると今、土地建物で3億とか4億とかそのぐらいのグロスのものを扱うんですけど、ま、それを買いにくる方もいるし。あと不動産の仕入れで古いアパートの立ち退きとかやるんですけど、そうするともう家賃5万円くらいのアパートに住んでる方とかの立退き交渉をやってくので。その中には生活保護の方がいらっしゃったりとか。というのにも接して、どうやったらご納得いただけるのか、とか。結構それも(働いていなかったら)見られない世界だったというか。
ーー:いや。本当、社会の1つですよね。
篠原:そうです。だからなんかそこの振れ幅のすごさみたいなのが、なかなか味わえないんじゃないのかなみたいな。
ーー:なるほどー。エリアは、世田谷が多いですか?
篠原:世田谷、目黒、大田、品川あたりがメインですかね。でも全然、はい、23区どこでも。
ーー:神奈川とか県外も?
篠原:はい。もちろんあります。横浜市川崎市あたりは、全然行きますね。
ーー:そっか、そっか。僕らneomuraの理事のホーリー(保理江)も、東京組でたまたま建ててたって。
篠原:いや、そうなんですよ。いやー、なんかね、すごいよく覚えてて。あの、美男美女ご夫妻で。確か、前のホームページを作る時とかに、ちょっと打ち合わせ中の風景を撮影させてもらって使わせてもらってたりしたので。だから後から「あ、ホーリーさんだ」っていう感じでした(笑)。
ーー:そっか、そっか。それ何年ぐらい前でしたっけ?
篠原:それもでも、もう10年近くか以上じゃないですかね。
ーー:うん、うん。いや、長いですね。
篠原:長いっす。あっという間ですもんね、最近ね。1年ぐらいは。
ーー:それは思います(笑)。思う。うん、そうそう。まあなんか、30超えてから速いっすね。
篠原:1年に1回会ってる人って、まあまあよく会うもんね、みたいな感じじゃないですか?
ーー:わかるわかる(笑)。うん、そんな感じですね。

ーー:なるほど。じゃ、ちょっと東京組さんのこのオフィスの話も少し、ね。これ本当、僕も前にご案内いただいて、めちゃくちゃ素敵だなと思って。リニューアルしたの、11月?
篠原:はい、2025年11月リニューアル。前のオフィス・ショールームも、かなり長いこと、5年以上、もっとかな。ずっと使ってたので、ちょっとやっぱり見飽きてしまうとか時代の流れとかもあったし。あの、前のショールームはやっぱり、ま、うちの建物って元々イタリアっぽい建物とか得意にはしてるんですけど、なんかそれしかできないじゃないですけど、そういう風にちょっと見えるかなというところもあったので。そうじゃなくて、もっと「何でもできるよ!」という感じのところを見せたかったというところと(笑)。
ーー:うんうん。
篠原:あと今回のショールームが「見るショールームから体感するショールームへ」っていう一応コンセプトでやっているので、図面を実寸大にして体感したりとか。
ーー:いや、これ(図面プロジェクター)すごいっすよね。
篠原:ぜひ使っていただきたいんです。
ーー:実寸で出て、そこを歩けるっていう。
篠原:モニターとかも大きいんで、いろんな集まりの時とかに使っていただきたいなと思ってます。
ーー:一通り聞いたなあ。あ、未来の話。でもその前に…大学の卒論は何書いたんですか?
篠原:戻るのか(笑)。卒論はですね、大物主(おおものぬし)という神様がいて、奈良の大神神社(おおみわじんじゃ)って結構有名なパワースポットがあるんですけど、そこの祭神が大物主様なんですね。
ーー:へえー。
篠原:かなり、数々の神様の中でも、すごいあの、強力な力を持った神様で。えっと、あ、すっ飛ばしちゃったな。ま、私とにかく物事をこう、1番原始的なところから割と分解して知りたいタイプなんですね(笑)。
ーー:ルーツから(笑)。
篠原:そう。でも元々神話とか好きだったんですよ。なので国文学だったら、現文のちょっと哲学っぽいことをやるか、あとはもう、古代の上代文学をやるかだなと思ってたので。古事記・日本書紀とかをこう紐解きつつ、その神様の「大物主っていうのは何なのか」と、いうことをテーマに書きました。
ーー:えーー。すげえ。今neomuraパートナーの、YSFのバーとかのリーダーやってる、あの矢嶋公輔っていうのがいるんですけど、彼、古事記とか神社の研究をずっとしてますよ。
篠原:あ、ヤジさん!マジすか?YSFのお疲れさん会の時に結構喋ったんですけど、そこまで辿り着かなかったなー(笑)。
ーー:彼めちゃくちゃ詳しいし、古事記検定とか持ってたり。あの神社とか大好きで、修験道の修行で山に登ったり(笑)。
篠原:あ、じゃあきっと大神神社とかも、あの山の上まで行ってるんだろうな。ちょっと今度(笑)。
ーー:そっかそっか。国文学かー。すげー。
篠原:神話は、絶対なんか理由あると思うんですよね。ああいうのが生まれたっていうのは。だから別に宗教信仰とかは別に何もないんですけど、私は。ただ結構その日本人が無宗教でもなんとなくちゃんと大事にしてる神様みたいなのってあるじゃないですか。
ーー:日本人って、宗教ではないが信仰があるって言いますよね。クリスマスめっちゃ盛り上がるよとか言ったらアメリカ人は意味がわからないですからね。結婚式はチャペルであげるし、葬儀は仏式です、みたいな。日本人ってやっぱり混ぜる力があるというか。
篠原:そうですね。あ、そう、なんかね、是非あの芥川龍之介の短編の中にそういうの書かれてるのがあって、すごい面白いので。『神神の微笑(びしょう)』だったかな?
ーー:えー。それはちょっと読もう。
篠原:いや、ちょっと、全然この脱線したところで何時間でも話せるんで、それはそれでちょっとスピンオフをさせてください(笑)。あ、私がチーム用賀の定例会(飲み会)に行けばいいんですね(笑)。
ーー:基本は毎月第3木曜日の夜にやってるので、ぜひ!

ーー:やばい。未来の話できてなかった(笑)。ここから、ま、東京組でもいいですし、篠原さん個人としてもいいし、何かこうやりたいこと、用賀に限らず、もしくは用賀でやってみたいとか。
篠原:うちの創業者と話していて、割と日本人って大手の会社とかを「大手だから安心」みたいに信用する傾向があると聞いたことがあるんです。これイタリア人と全く逆みたいな。
ーー:あ、そうなんだ!?
篠原:イタリア人は、大きい会社だからって信じないで、身近で繋がっているからこそ信頼してお願いするみたいなことを言ってて。
ーー:へーー。
篠原:確かにそういうのって、めちゃくちゃあるなと私は個人的には思ってて。こういう(普段から見知っている)関係でいて、「じゃあちょっと工事お願いします」って言われたら、いや、全部の仕事をちゃんとやらなきゃいけないのは大前提として、でもやっぱり、顔を見知った関係の仕事を受ける時って、本当に自分の信頼を損なわないよう頑張んなきゃいけないっていうのは、あるじゃないですか。
ーー:友達の家作るとかってなったらね、やっぱむしろなんかちょっと頑張っちゃおうみたいな(笑)。
篠原:そうそうそう。ってなると思うので。やっぱり地域工務店の行く末としては、そこなんだろうと個人的には思ってます。そういうところもやっぱり含めて、あのー、neomuraさんとかチーム用賀とも色々やっていきたいなと思ってます。自分自身はやっぱり生活って、そういう風になってくべき、ま、なっていくんじゃないかっていう気はします。顔の見える関係で。で、自分たちのその地域で回してくみたいな。
ーー:ですよねえ。
篠原:やっぱりそれが、あ、ま、例えば本買う時もなるべく私、Amazonで買えるものもちゃんと本屋に、実店舗持ってる本屋に取り寄せて買うようにしてるんですよ。
ーー:おー!わかる。本は、本当にこの、なんか資本主義経済と相性が悪いというか。
篠原:そう、だけどあれ実店舗設けてるとこで立ち読みだけとかして、Amazonで買うとか、もうそういう最低の行為ですよと思って(笑)。
ーー:なんか、本屋って本当になくなってくじゃないですか。
篠原:そう。だから私たち、便利に負けちゃいけない(笑)。
ーー:いや、なんか馬事公苑のところのTSUTAYAも、今、形が変わって、KALDIのカフェ(Magic House)とシェアラウンジって、ま、TSUTAYAがやってるコワーキングみたいのになりましたけど。やっぱり本がなくなって。
篠原:いや、まずいでしょう。もう本当まずいと思います。
ーー:前はこうフラッと入れたとか、あとなんだろうな、ちょっと新しい刺激を求めて、こう本をバーっと見てみるとか、そういうのがやっぱりできないの寂しいなと思って。
篠原:ですよね。
ーー:ビジネスとしてしょうがない、それはもちろんあるんでしょうけど。
篠原:なんかそこは私たち大人は、なんか頑張って、そのガチの本を揃えてるところを残しておかなきゃいけないんじゃないのって、すごい思う。
ーー:そうですよね。
篠原:安易になんか、ちっちゃい子にスマホ与えるんじゃなくって、そう、そこはやっぱり大人が頑張んなきゃいけないよねって思ってます。
ーー:僕の友人なんかも、地方創生とかの会社やってるもんで、みんなの図書館、街の図書館っていうのを作ってる人たち増えてきてて。一棚区画でこう、2000円、3000円とかでみんなが借りて自分の好きな本を置いておくみたいな。
篠原:借りる式のやつですね。
ーー:うん。やっぱりああいう空間すごくいいなと思ってて。で、結構その人の人柄を知る上で、どんな本が好きかって、結構あるじゃないですか。で、同じ本好きとかだと、めっちゃこう「分かる分かる!」みたいな。
篠原:そうですね。
ーー:なんかあれがKindleになるとシェアできない寂しさというか。
篠原:そう。ま、確かに無限にできちゃうからできないようにしてるんでしょうしね、あれもね。そうなんですよ。
ーー:やっぱり本を貸すのっていいですよね。
篠原:そうなんです。あとやっぱりこの紙の質感。これもいい。
ーー:大事っすね、体の感覚ってやっぱ大事だと思うので。
篠原:だからちょっとこう、やっぱり自分の住んでる街でもそういう活動してる人にやっぱり自分も少し投資じゃないですけど、大岡山で住民がはじめた「一棚本屋(シェア型書店)」の棚オーナーを私もはじめたんですよ。。そこがなかったら知り合えなかった人たちと繋がれるので、楽しいですね。
ーー:僕らやっぱりneomuraでやりたいんですよね。用賀で、特にできれば路面(の拠点)がいいんですけど。家賃高くて、そうそう。誰かいないですかね?その、大家さんとか。
篠原:いや、あれだな、なんかあの「八角堂(東京組の所有する八角形の物件)」とか…
ーー:あ、今どうなってるんですか?
篠原:うちが持て余していたので、関係者に格安で貸してるんですよね。
ーー:へー。
篠原:ま、だからそんな安く貸してるんだったら、なんかそういう形の拠点みたいなのできないかなと。ただ基本、(八角堂は)営業はしちゃいけないところだから。住居専用地域だからそこに住民票を持つ人が、住居の半分以下で事業営むんだったらいいとかなんですけど、ちょっとそこは「ただ営業じゃなければいいんじゃない?」とかね。
ーー:ショールームとか?
篠原:あ、ショールームはダメなんです。でもこうやってなんか「暮らす」「住む」と「商業」を法律で分けていったっていうのも、なんかそれが良かったことなのかどうかとか難しいところですよね。
ーー:ま、うまいこと、そういう中間領域を作ってくっていうのが今の時代的に必要な気はしますよね。
篠原:そうです。一棚本屋みたいのやるんだったら、なんかそれだったら結構あの場所ピンとくるなってはちょっと、思いますよね。
ーー:なるほどなるほど。目立つし何より面白い、駅から近いし。何か是非ご一緒させてください。
篠原:ぜひ!あー、すごいペラペラ喋っちゃった(笑)。
ーー:以上でちょっと名残惜しいですけれども、まあ、次は飲みながら(笑)。また、よろしくお願いします。ありがとうございました!
篠原:ありがとうございました。
